生産緑地の2022年問題に進展がありました
生産緑地の2022年問題に進展がありました
先日1月30日の日本経済新聞の社説にこんな記事が
掲載されました。
「都市部の農地を守るために」
今まで不動産業界では大きな関心ごとであった
「生産緑地の2022年問題」に大きな進展がありました。
都市部の農地を守るうえで一歩前進したと思います。
◆生産緑地の2022年問題とは何か?
生産緑地とは30年間にわたって農業を続けることを条件に
土地にかかる固定資産税が安くなったり、相続税の納税の
猶予を受けられる制度です。
ですので、この制度が始まった1992年に、地価の高い三大都市圏に
土地をお持ちの地主さんがこの制度を選択して、都市部の農地を
守ってきた経緯があります。
ところが都市部で農業を続けることはとても難しいことですし、
農業後継者問題もあり、農業を続けることは困難です。
この制度が始まってから30年目を迎える2022年に、これら生産緑地の農地が
大量にアパート用地や分譲住宅用地として転用される可能性が高く、
空き家問題がさらに深刻になったり、不動産価格の大幅な値下がりなどの
懸念がされていました。

◆平成30年度税制改正大綱で対策が打ち出される
これらの懸念に対応すべく、一つの方針が
平成30年度税制改正大綱で示されました。
現行の制度でも10年間は生産緑地指定を延長させることは可能ですが、
自身で農業を続けることが前提なので、延長をためらっている
方々が多いというのが現実でした。
そこでこの度の税制改正で、営農計画を市町村に認められた企業などに
農地を貸すときも納税を猶予するという方針が出されました。
これにより自身で農業を続けなくても、農業生産法人、もしくは
市民農園やシェア畑などを運営する企業に貸すことができるようになります。
昨今の安心・安全な食材を求める消費者の方々は、自分で野菜を
育てて食べたいという方が非常に増えており、都市型農園を守る一つの
手段になるでしょう。

◆行政の活躍に期待
日本経済新聞の記事にもありましたが、生産緑地に指定されているにも関わらず、
草がぼうぼうと生えていて、とても農地には見えない生産緑地というものも
たまに散見することがありました。
今後は第3者に貸せることになりますので、このような点も行政でしっかりと
管理をしていかなければならないでしょう。
また農地を借りる法人やNPOの営農計画、会社の財政状況等をしっかりとチェックし、
農地が荒れないように監督していくことも行政に求められることになりそうです。
いずれにしても、都市部の農地を守ることが、ひいては空き家問題や不動産価格の
安定、安心安全の食材の国内自給の増加につながることを期待しています。
今日もありがとうございました。